みぞおち辺りから下腹部までの痛みをまとめて腹痛と呼びます。
とはいっても、痛み方や痛む場所によって、腹痛の原因は異なります。
腹痛のなかには、重大な病気が隠れている場合もあるため、注意が必要です。
日常生活から考えられる代表的な原因
暴飲暴食、刺激の強い食べ物
暴飲暴食や、辛い食べ物などといった刺激の強い食べ物を過剰に摂取すると、胃が痛むことがあります。
また、適量を超えた毎日の飲酒やタバコ、香辛料、果汁、炭酸飲料も胃酸の分泌を促進させ、胃の粘膜に炎症を起こすため、胃痛の原因となります。
暴飲暴食や刺激の強い食べ物をたくさん食べた後は、胃を休めるようにしてあげましょう。
ストレスや温度差による自律神経の乱れ
過度な精神的ストレスだけでなく、エアコンで冷えきった夏の室内や、暖房で汗ばむほどの冬の室内など、室内外の温度差による身体的ストレスが原因で、胃や十二指腸の働きをコントロールしている自律神経が乱れることがあります。
このようになると、過剰に分泌された胃酸が胃の粘膜を傷つけてしまい、胃痛を引き起こします。
便秘、下痢
便秘や下痢のなかでも、特に精神的ストレスや過労によって腸が過敏に痙攣する痙攣性便秘では、下腹部に強い痛みがあらわれます。
また、冷たい飲み物を一気に飲む、またはとりすぎてしまうと腸が刺激され、腹痛を伴う下痢を起こすことがあります。
なんらかの病気が原因の場合
急性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、大腸の炎症性疾患、腸閉塞などの胃腸の疾患はもちろん、膵臓や腎臓、胆のうの疾患でも、腹痛を起こすことがあります。
内臓の疾患のなかでも、盲腸炎としても知られる虫垂炎は、上腹部から下腹部にかけて強い痛みが生じます。
また、サルモネラ菌やノロウイルスに代表される食中毒や、サバやアジ、イカなどの魚介類に潜んでいるアニサキスという寄生虫の幼虫が体内に入ることで発症するアニサキス症でも、上腹部や下腹部に激しい腹痛があらわれます。
特に夏場は、細菌が繁殖しやすくなっていますので、食中毒には注意しましょう。
腹痛を引き起こす疾患
腹痛を引き起こすとされる疾患には主に以下のようなものが挙げられます。
日常生活でできる予防法
規則正しい食生活を心がける
1日3食規則正しい食事をし、食べ過ぎ・飲み過ぎには気を付けましょう。
当たり前と思うかもしれませんが、この心構えが腹痛の予防には一番大切です。
スムーズな排便を促すには、食物繊維を意識して摂ることで便秘の予防にもなります。
また、アルコールやタバコ、辛い食べ物など刺激の強いものは控え、胃腸をいたわりましょう。
体を冷やさない工夫をする
冷房の効いた室内では、上着を羽織る、膝かけをするなどして体温調節を行い、体を冷やさないようにすると良いでしょう。
また、暑い日はついつい冷たい飲み物を飲みたくなりますが、体を内側から冷やさないためにも、冷たい飲み物を飲み過ぎないようにしましょう。
精神的なストレスを解消する
心にかかる重圧や悩み事は、健康にも大きく影響します。
好きな本を読む、ゆっくりとお風呂につかる、友人とおしゃべりを楽しむなど、簡単にできる自分なりのストレス解消法をいくつか持っておくと、毎日のストレスを溜め込みにくくなります。
対処法
痛む場所や度合いを正しく伝える
お腹が痛いときに、薬局や病院で適切な処置を受けるためにも、ここでは腹痛を訴えるポイントをお伝えいたします。
大切なことは痛む部位、次に痛み方(持続的なのか間歇的なのか)と痛みの度合いを伝えることです。
そのほか、腹痛以外の症状、下痢や嘔吐など、思い当たることがあればなんでも伝えるようにしましょう。
市販の薬を使う
症状を緩和してくれる市販薬を使用することも選択肢の一つです。
便秘や下痢、ストレスからくる胃腸の痛みなど、腹痛の原因はさまざまです。
薬を選ぶときは、薬剤師などに相談し、自分の症状にあったものを服用するようにしましょう。
腹痛がつらい、長引くという場合は、医療機関を受診しましょう
「お腹が痛い」という症状は、誰もが経験のあるものです。
ですから、「耐えられないほどではないから大丈夫」、「そのうち治まるだろう」などと考え、放置してしまうことも少なくありません。
しかし、激しい痛みの場合はもちろん、鈍い痛みでも持続的に起こるような場合には、重大な疾病が隠れていることもあります。
腹痛を我慢せず、必ず医療機関で診てもらうようにしましょう。